Snow Doll ~離れていても君を~
*
空を見上げると雲一つない快晴。
雪の予報はなく、青い空と雪道の白さの対比が美しいと思える日だった。
外出をするという兄に手を引かれ、玄関を出たとき。
「これ、渡しておくよ」
黒いスティック状の合鍵を手渡され、なくさないようコートのポケットにしまう。
兄は行き先を告げていない。でも、たぶんこれから桜花に向かうのだと思った。
あの電話では、今日が襲撃の日を指していた。
「薫兄さん。私と最後に賭けをして欲しいの」
突然切り出した私を、兄が意外そうに振り返る。
「……いいよ。何を賭けるの?」
「次の勝負で桜花が勝てば、私はまた桜花に戻る。蒼生が勝てば、私は薫兄さんのものになる」
自分で言っていて不安になりかける。
けれど、どうしても桜花に帰りたい気持ちが私の中にあった。
空を見上げると雲一つない快晴。
雪の予報はなく、青い空と雪道の白さの対比が美しいと思える日だった。
外出をするという兄に手を引かれ、玄関を出たとき。
「これ、渡しておくよ」
黒いスティック状の合鍵を手渡され、なくさないようコートのポケットにしまう。
兄は行き先を告げていない。でも、たぶんこれから桜花に向かうのだと思った。
あの電話では、今日が襲撃の日を指していた。
「薫兄さん。私と最後に賭けをして欲しいの」
突然切り出した私を、兄が意外そうに振り返る。
「……いいよ。何を賭けるの?」
「次の勝負で桜花が勝てば、私はまた桜花に戻る。蒼生が勝てば、私は薫兄さんのものになる」
自分で言っていて不安になりかける。
けれど、どうしても桜花に帰りたい気持ちが私の中にあった。