Snow Doll ~離れていても君を~
*
「今夜は冷えるから厚着して行けよ」
学校からの帰り道、前を歩いていた海里が私に声を掛けてきた。
「そうだよ。女の子は特に体冷やしちゃいけないからね」
車道側を歩く春馬君も気を遣ってくれるような発言をする。
「厚着……、そういえば私、家からトレンチコートしか持ってきてないんだった」
「え? それじゃあ寒いよ。今から買ってくる?」
「でも、そんなお金ないし」
「如月さんから貰ったのがあるだろ」
海里が振り返り、口を挟む。
「あれを使うのは申し訳ないよ」
ウールのコートなんて、安くても1万円近くしそうだ。服のためにそんな大切なお金を使えるはずがない。
「じゃあ、優希奈さんの家に取りに行くしかないね。家にはコートあるんでしょ」
春馬君が事も無げに言った。
「家、に……?」
「やっぱり、帰りたくない?」
「……誰もいなければ、取りに帰れるかも」
あの人にさえ、見つからなければ──。
「なら決まりだね。俺達もついて行くから、道を教えて?」
「今夜は冷えるから厚着して行けよ」
学校からの帰り道、前を歩いていた海里が私に声を掛けてきた。
「そうだよ。女の子は特に体冷やしちゃいけないからね」
車道側を歩く春馬君も気を遣ってくれるような発言をする。
「厚着……、そういえば私、家からトレンチコートしか持ってきてないんだった」
「え? それじゃあ寒いよ。今から買ってくる?」
「でも、そんなお金ないし」
「如月さんから貰ったのがあるだろ」
海里が振り返り、口を挟む。
「あれを使うのは申し訳ないよ」
ウールのコートなんて、安くても1万円近くしそうだ。服のためにそんな大切なお金を使えるはずがない。
「じゃあ、優希奈さんの家に取りに行くしかないね。家にはコートあるんでしょ」
春馬君が事も無げに言った。
「家、に……?」
「やっぱり、帰りたくない?」
「……誰もいなければ、取りに帰れるかも」
あの人にさえ、見つからなければ──。
「なら決まりだね。俺達もついて行くから、道を教えて?」