Snow Doll ~離れていても君を~

冷たい風が、刺すように私の体へ吹きつける。


「寒い?」

「うん、少しだけ」


春馬君は私の肩を引き寄せると、ぎゅっと両腕で抱きしめてきた。


「えっ? ちょっと、春馬君」

「こうすれば寒くないでしょ」

「で、でもっ。恥ずかしいんだけど」


頬を熱くして慌てる私を、悪戯っぽい瞳で覗き込む春馬君。


「龍臣は優しいから、これくらい許してくれるよ」

「……そういう問題じゃなくて」


抱きしめる腕は固く筋肉質で、わりと肩幅もあって。

可愛らしいだけだと思っていた春馬君が、ちゃんと男の子に見えてきてドキドキする。


「なんか、春馬の女にも見えてきたな」


呆れた声が隣のベンチから投げかけられ、やっと春馬君は私の体を解放してくれた。

< 37 / 268 >

この作品をシェア

pagetop