Snow Doll ~離れていても君を~
冷たい風が、刺すように私の体へ吹きつける。
「寒い?」
「うん、少しだけ」
春馬君は私の肩を引き寄せると、ぎゅっと両腕で抱きしめてきた。
「えっ? ちょっと、春馬君」
「こうすれば寒くないでしょ」
「で、でもっ。恥ずかしいんだけど」
頬を熱くして慌てる私を、悪戯っぽい瞳で覗き込む春馬君。
「龍臣は優しいから、これくらい許してくれるよ」
「……そういう問題じゃなくて」
抱きしめる腕は固く筋肉質で、わりと肩幅もあって。
可愛らしいだけだと思っていた春馬君が、ちゃんと男の子に見えてきてドキドキする。
「なんか、春馬の女にも見えてきたな」
呆れた声が隣のベンチから投げかけられ、やっと春馬君は私の体を解放してくれた。