Snow Doll ~離れていても君を~

「まぁいいや。とにかく、助けてくれたんだね。ありがとう」

「……あぁ」


そっけなく佐々木君が頷いたとき、保健室のドアがそろりと開いた。


「大丈夫か、相原(あいはら)さん」


私に声を掛けながら入ってきたのは、風紀委員で一緒の如月龍臣(きさらぎたつおみ)先輩。

細い黒縁眼鏡を掛けていて、いかにも真面目そうなタイプだ。

佐々木君と違って服装に乱れはなく、ネクタイを締め濃紺のブレザーを羽織り、きちんと校則を守っている。



「じゃあな、風邪ひくなよ」


自分はもう用済みといった態度で佐々木君が私にそう言うと、先輩へ会釈をしてから保健室を出て行ってしまった。


「寒くないか?」

「はい。もうすっかり温まりました」

「そうか、安心したよ。相原さんが保健室に運び込まれたって聞いて、生きた心地がしなかった」

「……心配かけてごめんなさい」


私が伏し目がちで謝ると、優しい眼差しで見つめてくる如月先輩。

彼はなぜか、私のことを何かと気にかけてくれている。

きっと妹のような感じなのかな。
私も、面倒を見てくれる先輩は優しいお兄さん的存在だから。
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