Snow Doll ~離れていても君を~
好きで付き合うことになったわけじゃないのだから、答えられるはずがない。


「全部、ですよ」


ここは無難に答えておいた。

それとも……正直に話しても良かったのだろうか。


「龍臣は、本気で貴女のことを好きなわけじゃないんだから、勘違いしない方がいいよ」


──そんなこと、分かってる。


「きっと、この勝負で貴女達が負けたら。貴女は彼に捨てられる」


樹莉さんは私を見て意地悪く微笑んだ。


如月先輩に見放されたら……海里の家を出て行かなくちゃいけないってこと。

そっちの方が、私にとっては痛いことのように感じた。


「だけど。もし勝ったら。その先には何があるんですか?」


私の疑問に答えようと、樹莉さんが口を開いたとき。


階段を上る足音が近づいてきて。

一番最初に現れたのは、俊也さんだった。


「俊也、下の様子はどうなってるの?」


樹莉さんが立ち上がって俊也さんに駆け寄った。

彼は一見無傷に見えたけど、脇腹を片手で押さえて痛みを堪えているようだった。


礼央(れお)がやられた」
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