Snow Doll ~離れていても君を~
「とりあえず、今日は解散だ」


如月先輩の合図で、みんなは散り散りになっていく。



「──優希奈。今夜は俺と一緒に居ろ。海里の所には帰らなくていい」

「……え?」


その言葉を聞いて、私の表情が一気に凍りつく。


「でも、」

「俺の女になるのが条件だったよな。一晩くらい別の場所に泊まったって問題ないだろう」


平然と言い放つ先輩。

私は助けを求めるように海里の姿を探した。

如月先輩の向こうに、うつむき加減で立つ海里を見つけて安堵する。


長い前髪の隙間から鋭い瞳が覗き、私と視線が絡み合う……。


すがるように彼を見つめ。

何か言わなきゃと口を開いたけれど。


如月先輩が強く私の腕を引いて歩き始めたせいで、何も伝えることができなかった。

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