Snow Doll ~離れていても君を~
部屋を、予約……。


「まさかとは思いますが。わたしも一緒に泊まるんですか?」

「そうだよ。何か問題でも?」

平然と言い放つ先輩は目をすがめて私を見た。


「だっ、駄目ですそんなのっ」

慌てた私は先輩のジャケットの袖を掴んだ。


「──不思議だな。海里とは一緒に住めて、どうして彼氏の俺とは泊まれない?」

「そ……それは」


部屋だって別々だし。鍵もついてるし。


「海里を男として見てないのか。それとも──その逆なのか」


意味深な眼差しで見つめられ、私は目を逸らした。


「そんなに俺が嫌いか?」


耳元で囁かれたかと思うと、腰を引き寄せられて先輩の体と密着してしまう。


嫌いというより、先輩はお兄さんのような存在だから。
男の人として意識するのは、相当時間が掛かる気がした。


「俺は知ってる。優希奈がどうしてそこまで自分の家に帰りたくないか──」


私は目を見開いて彼を見上げた。

如月先輩が、知っているはずなんてないのに。
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