Snow Doll ~離れていても君を~
ガチャ、とドアが開く音がして海里が入ってきた。
「きゃあっ」
彼と目も合わないうちに背を向けた私は、咄嗟にしゃがんで体を隠す。
ブラとショーツ、お揃いにしておいてよかった。
……じゃなくて。
「──あ、悪い」
ボソッと謝った海里だけど、なかなか出て行く気配がない。
なんで?
不審に思った私はワンピースで体を隠しながら、そっと振り返った。
そこには、私の体を凝視して固まっている海里の姿があった。
「あんた……それ……、なんだ?」
「あ……」
ひやりと、嫌な汗が伝う。
「その傷、なんだって訊いてんだよ」
眼を鋭く細め、繰り返す海里。
指摘されて初めて、自分の肌に残る火傷の痕を思い出す。
肩の辺りに刻まれた、一生取れない傷痕──
あのときの痛みや悔しさが蘇ってきて、私の瞳を生温かい透明な液体が覆い始めた。
「そういうことかよ。家に帰れないって、そういう理由だったんだな」