Snow Doll ~離れていても君を~
服を着替えた私は、気まずい面持ちでリビングに入る。
当の海里は、私の下着姿を見たことなど記憶にも残っていないのか、全くの無表情でソファの肘掛けにもたれ座っていた。
「あの。このことは誰にも言わないで」
「何で?」
海里が視線だけこちらへ向けて問う。
「だって……」
まだ海里のことを信用したわけではない。
私が疑っていることが母にバレたら。
誰かに火傷の痕のことを喋ったことがバレたら。
次はどんな仕打ちが待っているか分からない──。
「俺のことが信用できないって言うなら。如月さんのことはせめて信用してやってくれ。あの人はあんたを匿っているようなものなんだぞ」
「……そうだったね」
うつむいた私は覚悟を決め、海里の澄んだ目を見た。
「今度、先輩に話してみる」