Snow Doll ~離れていても君を~


授業が終わり、放課後になると『映画鑑賞同好会』の教室へ向かった。

今日は海里と春馬君しか来ていない。如月先輩は後から合流するそう。


「優希奈さんも珈琲飲む?  紅茶もあるよ」


春馬君たちは珈琲タイムなのか、マグカップ片手にまったりと机の上に腰掛けている。


「じゃあ、珈琲で」

「了解」


てっきり返事をした春馬君が入れてくれるのかと思っていたら、海里が立ち上がりインスタントの珈琲を作って手渡してくれる。



「海里って、女の子に興味ないの?」


唐突な私の質問に、飲んでいた珈琲をブッと吹き出す海里。

え? まさか図星だった?


「だって、私の下着姿を見ても…………んんっ!」


何とも思っていなさそうだった、と続けるつもりが、後ろから海里の大きな手のひらに口元を押さえつけられ、それ以上喋ることができなくなる。


まるで、後ろから抱きしめられているような、この状況。

顔中に熱が集まり、心臓の音が耳元で聞こえる。


「何……? 二人はもうそんな関係になったの?」

春馬君が大きな目を瞬かせて聞いてくる。


「違うって」

海里が私の口から手を離し否定した。
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