Snow Doll ~離れていても君を~
「あ、そっか。女の子に興味ないのかって、優希奈さんが聞いてるくらいだもんね」

春馬君は納得顔で私と海里の顔色を観察している。


「海里は私みたいなタイプじゃなくて、もっと大人な女の人が好みなの?」

「…………」


海里は肯定も否定もせずに珈琲を飲み干した。


「あのさ、そんなの馬鹿正直に答えるわけねぇだろ。あんたと話してると、ほんと調子狂う」


「──どうした? 楽しそうな声が廊下まで聞こえてきたぞ」


そこへ、如月先輩が教室へ入ってきた。今日はまだ眼鏡をかけている。

私のすぐ近くにいた海里が、スッと離れ距離を置いた。


「……何も楽しいことなんかありませんよ」


海里は無愛想に返事をし、それに対して春馬君はニヤニヤ嗤っている。
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