Snow Doll ~離れていても君を~
「意外だな。海里が女をかばうとは」


如月先輩が低く呟き、海里へ視線を移す。

窓辺で珈琲を飲んでいた春馬君も意外そうに私たちの様子を眺めている。


「別にかばったつもりは。ただ、この場で傷を見せるのはどうかと思っただけで」

私の腕を放し、海里は続ける。


「それに、こいつが貴方の物だってことは、当然理解しています」

「……なるほど。じゃあ今度、二人きりになったときに見せてもらうことにするよ。詳しい話もそのときに」


それを聞き、私は唇を噛みしめる。


「どちらにしろ、優希奈、お前は俺のそばから離れられないんだからな。──今のところは」


唇の端を歪めた如月先輩は、海里に封筒を手渡し、教室から出て行った。


「ホントに意外、まさか海里君が龍臣から優希奈さんを守るなんて。やっぱり、二人ってそういうカンケイ?」

「……違うよ、春馬君」
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