Snow Doll ~離れていても君を~


紅い夕陽が完全に消えた帰り道、如月先輩は家の方向が違うのに一緒に付き添ってくれている。


私の右隣には如月先輩、左隣にはケイがいて。

後方には春馬君と海里が歩いていた。


「やはり警護を手薄にした途端、喰らいついてきたか」


如月先輩がぽつりとつぶやく。


「何それ。私達、(おとり)にされたってこと?」


ケイが私と目を合わせ悔しそうに唇を噛み締める。


「ああ。蒼生(あおい)高の怪しい情報を手に入れたから、先手を打つことにしたんだ」

「怪しい情報?」


春馬君の言葉に疑問を持った私は、後ろを振り向き聞き返す。


「姫──つまり優希奈さんの拉致を企ててるヤツがいるって」


姫なんてガラじゃないし気恥ずかしすぎる呼び方はやめてほしいけど、拉致はされたくない。


「本当に、優希奈さんがさらわれなくて良かったよね──海里君」


春馬君は意味ありげに海里へ視線を送る。
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