Snow Doll ~離れていても君を~
海里は否定せず、憮然と私の後ろを歩いていた。


「──よし。今日は海里の家で鍋パーティーでもするか。優希奈をそばで警護するためにも」


如月先輩の口から“パーティー”なんて言葉が出てくるとは思わず、唖然として見上げてしまう。

私の警護はついでで、鍋をやりたいだけでは?


「……本気ですか?」


海里が嫌そうに顔をしかめ、私の心の声を代弁してくれた。


「鍋パーティー!? いいわね、やりましょう。大切なユキを、海里なんかと長い時間二人きりにしておけないし」

「じゃあ俺、一旦帰って着替え取りに行ってくる」

「……着替え?」


春馬君の意味不明な台詞に、海里が眉間にしわを寄せる。

交差点を右に曲がりかけていた春馬君は振り返って言った。


「皆で泊まるからだよ、もちろん。明日着る服が必要でしょ」

「──はあ?」

「私もお泊まりセット一式、持って来なくちゃ」


ケイがノリノリで身を翻し、おそらく自分の家のあると思われる左側の道へそれる。
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