Snow Doll ~離れていても君を~
「海里と優希奈は買出しを頼む。──じゃあ、また後でな」


如月先輩までもがそう言い残し、もと来た道を引き返して行った。


後に残されたのは私と海里だけ。


先ほど、冷たく手を振り払われたことを思い出し、気まずさにうつむく。


これは、絶対にこちらからは口を開けない雰囲気だ。
話しかけたら最後、二度目の冷たい仕打ちが待っている。


どちらが先に沈黙を破るか。

我慢比べのようになり、先に口を開いたのは──


「……勝手に皆を泊める羽目になったけど、良かったのか?」

何となく気まずげに目を逸らした海里だった。


「別に私は大丈夫。たまには大勢で過ごすのも楽しいし」

「あと……、さっきは悪かったな」

「──え?」

「行くぞ、買出し」


さらりとした謝罪に耳を疑う。

無表情の海里は私を追い抜きざま、ポンと頭を撫でていった。


大きな手のひらの重みを一瞬感じ、私は海里の背中を見つめながら顔中を熱くさせていた。
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