Snow Doll ~離れていても君を~


夕飯前のスーパーは異常なくらい混んでいる。

海里はあらかじめ買う物をメモしてきたのか、白い紙を片手に買い物カゴへ食品を入れていく。

毎日自炊しているため、慣れた様子で混雑した店内を進んで行った。


私は海里の背を視界に入れつつも、食後のデザート選びのためフルーツのコーナーで立ち止まった。


男の子はあまり果物とか食べないかな?

でもケイは美肌を気にしていそうだし、一応買っておこう。

そう思い、ミカンに手を伸ばしたそのとき。


「優希奈?」


背後から肩を叩かれ、ビクリとして振り返った。


すぐそばに立っていたのは、サラサラとした茶褐色の髪の男子高生。


私の兄、薫(かおる)だった──。

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