Snow Doll ~離れていても君を~
「あの人は、春馬の兄貴で、海里のイトコだ」

如月先輩がそう説明してくれる。


「えっ、本当ですか?」

「…………」


海里と春馬君はなぜだか無言で目をそらす。


言われてみれば、二人はどことなくTVの中の人に雰囲気が似ている。

兄弟だという春馬君にいたっては、目元がそっくりだ。


「優希奈さん。そんなに見比べないでくれる?」

「あ……。ごめん」

「目の前に俺達いるのに、兄貴の方が良いなんてさー」


わざとなのか、拗ねた表情で春馬君が言う。


「そういうわけじゃないよ、みんな格好いいし素敵だよ?」


慌ててフォローしてから、ハッと口元を押さえる。

つい本音が出てしまった……恥ずかしすぎる。



「え。それってお世辞なの? 本音なの?」

「う~~~お世辞というわけでは……」

「本音だとしたら。“格好いい”なんて言ってもらえて良かったね、海里君」


春馬君は急に海里へ話を振る。


「……それはどーも」


投げやりな感じで言った海里は、逃げるように冷蔵庫へ飲み物を取りに行ってしまう。


「なるほどな。優希奈の好みは、ああいう男か」


如月先輩がTV画面と海里を見比べながら、ひっそりと呟いていた。
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