Snow Doll ~離れていても君を~
「何がどう誤解なの?」


立ち止まったケイは軽く小首を傾げる。


「だから、海里とは何もないっていうか」

「……あれで? ユキ、後ろからハグされてなかった? しかも……」

「いや、あれは。海里の冗談だよ、きっと」

「ふーん。まあ、龍臣には言わないでおくわ」

「……ありがとう」


何のお礼なのかよくわからなかったけれど。
確かに如月先輩に知られるのは良くない感じがした。




リビングに戻ると、ソファのそばに立った春馬君がスマホの画面を睨んでいた。

短い着信音のあとに、急に小さく舌打ちをする。


「俺、ちょっと呼び出されたから、泊まらないで帰る」


不機嫌そうに荷物をまとめる春馬君。


「え。春馬君、帰っちゃうんだ」

「どうした、家の用事か?」


如月先輩が聞くも、春馬君は薄く笑って否定した。


「いえ。……彼女です」


短く言い残し、玄関へ向かう。


「彼女? 春馬君て、彼女がいたんですね」


驚いた私は如月先輩を振り返る。
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