怨返し─赦されない私の罪─
ボロボロの黒い短パン、白いシャツ、白い手に腕、黒い線の跡がついた白い首、そして...
「おびじざじぶりぃ....ゴボゴボ...だぃぎぐぅん。」
「うわあああああああああぁ!!!!!!」
自分の目の前には死んだはずの章太がいた。
真っ白な顔に、何の色も宿していない真っ黒な瞳孔、口からは血を含む泡のようなものがブクブクと出ていた。
夢とは違うが、来希にとっては同じようなもの。トラウマに近いレベルの人物に違いはない。
来希は腰を抜かしながらも棚へと倒れた。
棚の物がガジャンガシャンと落ちて、自分の頭にぶつかっても来希は気が付かない。それ程に意識を奪われていた。
「お、おおおま、な、なななんで....」
「...ざいぎん...じゃべでぃやぶぐなっだ....ゴボっ...ぜんぜぇのどぎは、ぼぼごどぼにできながっだんだ。」
章太は首を抑えながらも苦しそうな感じで喋っていた。死人が目の前にいる、それも今朝の悪夢の登場人物、来希は目の前の事でパニックになっていたが、本能なのか章太が喋った言葉の意味を理解しようとしていた。
"最近、喋りやすくなった。先生の時はほぼ言葉に出来なかったんだ"
来希は解読に成功するが、成功したところで絶望しか待っていなかった。自分の命の保証がまた一層薄くなっていく。