怨返し─赦されない私の罪─
「へ?お、恩返し?どういう」
章太は来希の首を片手でいきなり締め付けてきた。首を床へ押し付けられるように締められ、来希は必死に章太の手に指を入れようとするが、何故か自分の手は章太の手に触れられずすり抜けてしまう。
「がっ!...な、なんで....」
「ざぁ...ぼぐにもわがだない....ばぁぞんなごどばぃぃや...
ざぁ....ぎびに"おんがえじ"をじべあげるね。」
その言葉で来希は気付いた。章太は自分の首を絞めて殺そうとはしていない。あくまで押さえ付けるのだと確信した。
「...ぎみはよぐ、ぼぐにだべざぜてぐれだよね?ばけど、ぎみはだべでな....ゴボッ...いね?だがら...おがえじ....ぎみにだべざぜてあべるよ...ばらいっばいにで....」
一瞬何を言っているのか、分からず頭の中は?でいっぱいになっていた。
だが、数秒後来希は章太の言っていることを理解した。そして、さっきまで締め付けられて殺されないで良かったと心の中で思っていた自分を呪い、絞め殺されれば良かったと悟った。
「ばっ!...ま、まざか....おま...」
来希の嫌な予感は見事に的中。章太のもう片方の手の平にあった。
ゾゾゾッと悪寒が走り、死を実感した。来希は何とか逃げようと必死に抵抗するが、どうすることも出来なかった。
「ゆ、夢だ!ごれば...夢にぎまってる!!今朝みたのと同じ」