怨返し─赦されない私の罪─

「....ざあ...だぁんどめじあがれ....」


章太は片手にあるのを来希の口に無理矢理入れた。襲ってくる嗚咽や苦しみ、とてもじゃないが耐えられず、来希は足をばたつかせた。
必死に抵抗しようとするが、スルスルと章太の身体はすり抜けてしまう。更に、章太は次々と片手に無理矢理食べさせようとしたいるものを手に取り、そして強引に口に押し付けた。

来希は涙を流しながら夢だと信じて苦痛を耐えた。
だが、終わらぬ苦痛に来希は察した。これは夢ではない、信じ難い紛れもない現実だと。



意識が消える直前に来希に分かったことが一つだけあった。


章太は"恩返し"をしようとしたのではない。
怨みを混ぜ合わせ、やり返す。


"怨返し"をしようと
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