怨返し─赦されない私の罪─
依奈は顔には出そうとはしなかったらしいが、他人から見たら明らかに動揺した。
さっきと同様の目だが、黒目がプルプルと動き安定していない。
「あんたみたいなクズが...章ちゃんって言うな....」
「クズ?お前もだろ?お前も俺たちと同じステージに立ってんだよ。同類なんだよ!」
ここで煽るのはマイナス効果しかないのは清都自身も理解していたことだった。だが、来希と違い清都は我慢が得意ではなかった。
依奈の態度一つ一つに怒りを覚え、早くも限界が来てしまっていたのだ。
対して依奈の限界も近かった。自分も三人と同じステージにいること、認めたくない事実に依奈は怒りを感じていた。
だが、そこで隣で黙って聞いていた佐々木が二人の間に入った。
「クズじゃない...ち、千澤さんはあなた達と同じクズじゃ....ない!!」
佐々木の登場でクラス全員の目線が一気に集まった。このクラスの常識では京吾ら三人と対象者との衝突は関わらない事、最初から関わっていた美苗とは違い、つい最近まで怯えていた佐々木のこの発言は異常事態だった。
教室が一気に静まり返り、清都は血管を浮き出しながらピクピクしていた。
すると、顔を真っ青にしてキレかかってる清都を警戒しながら、近くの女子生徒が近寄ってきた。