怨返し─赦されない私の罪─

...私はそれくらいの覚悟なのを理解して下さい。
今後一切!千澤さんに危害は加えないで下さい!!」


「....ささ...裕子さん...」


依奈は昨日の公園での佐々木の決意を完璧には信じてはいなかった。どこか勢いで言ってしまっているのではと心の隅で思っていた。
だから、この佐々木の行動に依奈は涙を流しそうになった。


裕子さん...あなたはやっぱり...弱い人間なんかじゃない。私より....ずっと、ずっと強い人間だよ...


依奈が感慨深く思っているのとは逆に、清都の怒りは限界だった。今からでも、頭に浮き出た血管が切れそうな程に膨張していた。
握り固めた右拳を振り上げると、周りの生徒は小さい悲鳴を上げた。


「...調子に乗ってんじゃねぇぞ佐々木よぉ。これは取り敢えず後回しにしてやる。....さっさと来希の所行くぞ。」


そう言うと、清都は振り上げた右手を下げて鞄を手に取り、二人に背中を見せた。
佐々木は気力が切れたのか、ヘナヘナと腰を抜かして座り込んだ。


「はぁ...はぁ....こ、怖かったぁ...」


「ありがとう裕子さん。聞いてて私凄い嬉しかったよ。」


「い、いえ...はぁ...はぁ...え?今、名前で...」


佐々木は目を丸くして聞き直すが、依奈の目線は既に清都の方へ移っていた。
< 136 / 313 >

この作品をシェア

pagetop