怨返し─赦されない私の罪─
静華は裕子のコップを取り上げると、顎を片手でクイッと上げた。ドラマのワンシーンのようにスムーズな動きに裕子は勿論、見ていた二人も見入ってしまっていた。
静華の顔が近付き、裕子は頬を赤らめ弱々しい顔を見せた。
そこではっとした依奈はすぐに立ち上がり、二人の間に駆け寄った。
「は、はいー!!もうおしまい!!」
「何邪魔するのよ。もしかして...嫉妬?」
「んなわけないでしょうが!もう!真剣な話をしたら数分ももたないんだから!ちゃんと考えてるの?」
「考えてるわよ。考えてるけど、ここは私にとってはユートピア。楽園なのよ?娯楽も必要かと」
「あんただけでしょうが!はぁ....章ちゃんを止めるにはどうすればいいの?もう...話ずらすのナシだからね。」
静華は髪をかきあげると、先程まで美苗がいた所に座り、裕子の頭を撫でた。
裕子は恥ずかしそうにしながら、お茶を啜って誤魔化していた。
「そうね...章太君を止める、つまり成仏させるには二つある。この世に未練を無くさせるか、お祓いね。
未練を無くさせるってことは、まぁ言わずとも分かることよね?」
章太の未練を無くす。つまり、最低でも依奈含め三人の死。依奈は唾を大きく飲み込み、場は緊張感で包まれた。