怨返し─赦されない私の罪─
そしてその崖手前の樹木に美苗はいた。
そして章太も立っていた。
章太は美苗の首を片手で掴み、樹木に押し付けながら上へと押し上げていた。
美苗は足をじたばたさせ、手で章太に対抗しようとするも、身体を通り抜けてしまい、何も反抗出来ずにいた。
「...ッ...章ちゃん!!!!」
依奈は叫ぶようにして章太を呼んだ。
章太は美苗の首を締めながらゆっくりと依奈の方に目線を合わせた。
章太は真っ白な肌、そして目に輝きを持って無表情で依奈を見つめた。首元には首吊りの痕は消えていた。
そんな章太にゾッとしたが、依奈は前へ進んで行った。
「章ちゃん....もうやめて!章ちゃんが死んじゃったのは私のせい!美苗は関係ない!!」
章太は相変わらず無表情で、ただ黙って依奈の方を見つめていた。まるで感情を持たないロボットのよう。
「享吾にも手を出さないで!あいつは章ちゃんにとって凄い憎たらしい相手なのは分かってるの!だけど、もうこれ以上章ちゃんが手を汚すのは見てられないの!!
私が章ちゃんの恨みを全部、全部!受け入れるから!章ちゃん...お願い....もう誰も傷付けないで...美苗は....私の友達なの...」
依奈は涙目になりながら訴えた。章太の無表情の仮面が少しだけ崩れ、少し寂しそうな顔をした。