怨返し─赦されない私の罪─
二人は何も分からず、ただその女の人に圧倒されていた。
女の人は片手でゆっくりと髪をかきあげ、顔をさらした。
依奈はその顔に見覚えがあった。決して忘れるわけが無い、その人の顔。
「え?....ぜ、善子...さん.....?」
「依奈ちゃん....久しぶりね...本当に憎たらしいわ....」
ガラガラでドスの効いた声を発する善子に依奈は驚愕していた。生前の声とはまるで違う。そして顔も生前の綺麗な肌はどこに消えたのか、まるで老婆のような肌になっていた。
「だ、誰なの?...依奈....」
「章ちゃんの...お母さんなの....章ちゃんが自殺した後....享吾に殺されちゃった...」
「あの子のことを...気安く呼んでるんじゃないわよ!!!」
善子は片手を依奈にかざすと、先程の針を刺された痛みがいきなり襲ってきた。依奈は再び海老反りになって、苦しんだ。
「あ!ああああああああ!!」
「苦しめ!あの子はもっと苦しんだ!あんたが反省したかどうかなんて知ったこっちゃない!あんたに必要なのはあの子以上の苦痛の罰よ!!」
痛みがふっと消え、依奈は海老反りから反動で倒れ込んだ。静華は吐きそうになりながらも、善子を睨んだ。
「なるほどね....親子で憎む対象もほぼ同じだから...オーラが似ているし被る....
そして...章太君のオーラは小さい....初めてよ...幽霊に取り憑いている幽霊なんて....」