怨返し─赦されない私の罪─


善子の凄まじい怒りと怨念が部屋を震わした。今にでも部屋が爆発しそうな、飛行機が積乱雲に巻き込まれて操縦不可能になった機内のような揺れと不安と恐怖。

静華はすぐ横にある鞄からパックを取り出した。中身は盛り塩用の塩。静華は塩を片手に持ち、善子に向かって投げようとしたが、その前に善子は静華にも手をかざし、痛みが襲う。

静華もその痛みに我慢できずに発狂した。依奈は発狂する力も意識もなく、段々と視界が黒に染っていく。


「ふふふふふふふ!!あはははははははははは!!!あの子の痛み!苦しみ!絶望を思い知れええええええ!!!」


段々とその笑い声も遠ざかっていくのを依奈は感じていた。
瞼も勝手に落ちていく。意識が無くなっていく。依奈は頭の中で何度も謝罪をしていた。


ごめんなさい....善子さん...章ちゃん....わたしのせいなの...ごめんなさい....二人とも...どうか他の人の...静華の命はどうか取らないで....お願い...ごめんなさい....ごめんなさい...


依奈の意識がふっと消えた。謝っても謝りきれない思いと共に依奈の意識は消えた。
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