怨返し─赦されない私の罪─
だが、その文章は異常だった。依奈は目を見開きその文章に食いついた。
"滝歌工場の裏手の第三倉庫で八栗 美苗と待っている。一人で来て。
章太"
「何...これ....」
それは章太からのメッセージだった。しかも不気味なことにその文章は人の血で書かれていた。
ゾワゾワと背中をなぞられるような感じになって寒気すら感じた。
章ちゃんは復讐を続けるの?善子さんがいなくなった今でも....
章太からのコンタクトは初めてだったが、家の鍵は完全に閉めているから誰かが部屋の中に入れるわけはない。窓の戸締りも完璧。
こんな真似は幽霊などの類ではないと行えないこと。
依奈はすぐに部屋を出て階段を駆け下りた。
「お母さん!!私ちょっと出かけてくるから!!」
「え!?どうしたの?いきなり」
花梨の問いを聞かず、依奈は自分の家を飛び出した。携帯ですぐに場所を検索し、全速力で走った。
「依奈!!」
走り始めた直後、母親とは違う声に呼び止められ、足を止めて振り返る。そこには静華がいた。
「え?静華?なんでここに」
「買い物のついでによって行こうかと思ってたの...
それより、今からどこへ行くつもり?」