怨返し─赦されない私の罪─
静華はどこか緊張気味にそんな事を言ってくる。章太のこともあり、静華の態度に良い印象は持てなかった。
「....滝歌工場の倉庫...」
「何のために?」
「別に....散歩みたいな感じだけど...」
「依奈....そんな所行かないで。家の中で話をしたいの。」
静華は真剣そうにそう言った。緊迫している刑事のような印象を受けた。
「話って?」
「別に...単純に楽しく話をしたいだけなの。」
「ごめんね。また今度にして。じゃ」
依奈はその場を立ち去ろうと、少し強引気味に向かおうとした。一刻を争う状況で楽しくお話が出来るはずもない。
だが、そこで静華は依奈の手を掴んで引き止めた。
「だ、駄目!行ってはダメよ!」
「な、なんで!?なんで行っちゃいけないの?」
静華は先程まで目を離さずに話していたのに、急に目線を逸らし少し困った表情を浮かべた。
「それは....今は言えない。だけど行かないで。お願い依奈。行ってはダメなの。」
「なんなの!?言えないって何!私は行かないといけないの!」
「な、なんでそんなに行きたがるの!理由を答えて!」
「章ちゃんは!!...成仏なんかしてないでしょ?」
依奈の言葉に静華は目を見開いて、口をポカンと開けた。