怨返し─赦されない私の罪─
そんな依奈の内心を知らない静華は、目をしっかり見ながら話し始めた。
「...私の嘘についてなんだけど、依奈が言ってくれたように章太君はまだ成仏なんかしていない。あなたにまだ取り憑いている。」
「え?私に?でも部屋を真っ黒にしても出てこなかったんだけど....」
「そんなことしても出てくるはずないのよ。
章太君のオーラは前とはまるで違う。ドス黒いオーラは今では淡いオレンジ色になってる。
暖かそうで見た感じホッコリする。だけど、何故か悲しげ...そんな印象だわ。」
依奈はいくつかの疑問が浮かび上がるが、それが頭の中でグチャグチャに混ざっていく。頭を抱えながら深呼吸をして、静華に尋ねた。
「...章ちゃんのオーラが変わったのって...善子さんのせい?」
「そうね。善子さんがいたからあんなにも憎しみが膨れ上がった形になったんだと思う。善子さんに襲われた時に章太君が迷ってると言ったわよね?私の考えだけど、あの時の章太君には悲しみや後悔しか無かったけど、善子さんが無理矢理にでも復讐を続行させようとした結果だと思う。
だから、善子さんがいなくなった今、章太君が抱いていた憎しみがごっそり取れた形になったと思うわ。」
「章ちゃんは私を恨んでたのに...というか、なんで静華は嘘ついたの?私がそれを知ってなんかあるの?」