怨返し─赦されない私の罪─

だから、僕の顔を見ながら聞いてくれないかな?僕も、ちぃちゃんの顔をしっかりみながら言わないといけない事だから。」


依奈は章太の元からゆっくりと離れ、元の場所へ戻った。鼻水をすすり、涙を流しながら充血した目で章太を見る。


「ちぃちゃん、僕が自殺した理由は享吾君達のイジメが苦しかったからじゃない。やっぱり....ちぃちゃんに見捨てられちゃったことが、僕に自殺の選択肢を選ばせちゃったかな...」


依奈は心が更にヅキヅキと痛み、泣きじゃくりそうになったが、章太の気持ちを受け入れるという思いで、なんとか踏みとどまった。


「僕はちぃちゃんを守って何かの見返りを望んでいるわけじゃなかった。だけど、やっぱり悲しくなったんだ。僕はこんなに頑張ってるのに、なんでいい事一つもないんだろ?って。
そして、ちぃちゃんが僕から遠ざかった時、僕の見ていた世界が色を無くした。何も考えられなかったし、なんで生きているのかさえ見失ったんだ。今思えばなんでそうしたんだろ?って思っちゃうけど、当時はそれ程辛くて自殺しちゃったんだ。」


苦悩し、首を吊って自殺してしまう章太の映像が頭の中で再現された。依奈は涙で視界が埋まっていく。目線を外したい思いを押し殺し、涙を拭いて話を聞き続けた。


「そして、その後は色んなところをさまよってたんだ。僕が死んでからの母さんの様子だったり、教室とかも行った。
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