怨返し─赦されない私の罪─
ちぃちゃんが僕の為に享吾君に立ち向かった所も。
....僕はどうすれば分からないでさまよい続けたら、たまたま見つけちゃったんだ。母さんの死体。」
「享吾に刺された時の?...じゃあ、その時から....」
「うん。死んじゃった母さんは僕に取り憑いた。そうすると、母さんの仇と自分のされた事の仕返しをしたいっていう気持ちが爆発するみたいに大きくなって....気が付いた時には行動をしていた。」
「それが...清都も言ってた"怨返し"?」
章太は静かに頷いた。当時の頃を思い出すかのように遠くを見ていた。
「僕を見捨てた先生、虫を食べさせてきた来希君、鬱憤晴らしに殴ってきた維新君、決して暴行を辞めてくれなかった清都君、そして享吾君。次々に復讐したけど、僕は....言い難いけど、心の底から楽しんだ。
復讐を果たすと自分の身体が楽になるんだ。空まで飛べそうな勢いになって、興奮して復讐をやめようとは思わなかった。
この部屋でちぃちゃんを怖がらせちゃったよね?僕はちぃちゃんを見捨てられたことで憎んでしまったけど、命を取ろうとは思わなかった。怖がってるちぃちゃんを見て、満足してたから...」
章太は部屋をキョロキョロ見ながら話した。依奈は当時の事を思い出す。確かに精神的には追い詰められたが、身体に危害を加えられることがなかったあの日の事を。