怨返し─赦されない私の罪─


「僕はクラス全員皆殺しにする気持ちでいた。だけど、監視役だった美苗さんを殺そうとした時にちぃちゃんが僕を呼び掛けて、僕の心は大きくぐらついたんだ。
ちぃちゃんは前とは違って僕に向き合おうとしてくれている。なのに、僕はこんな事をしていいのかって....
だけど、母さんの力のせいかな?やっぱり復讐の方が強くなって...」


「....じゃあ章ちゃんは....私が呼んで悲しそうになったのも...その後美苗の首を絞める力を強めたのも....そういう気持ちだったの?」



「うん。僕は自分がどうすればいいか悩みながら、享吾君に近付いた。享吾君が崖から落ちた時、僕はなんだか虚しくなって...そこから母さんの憎しみの力と僕の迷いの感情が同じくらいになったんだ。
そしたら、日が経ってちぃちゃんと静華さんが僕を呼び出そうとした。その時、母さんは僕から離れて代わりに手を汚そうとして、ちぃちゃんの静華さんに手を出した。」


息子想いだった善子だからこその行動で、凄まじい憎しみ。依奈は思い出しながら身の毛をよだった。


「だけど、そのおかげで僕は母さんに立ち向かえた。母さんは何度も復讐しようと言ったけど、僕は何とか母さんを言いくるめた。
そしたら、母さんは空へ昇って行った。安心そうな顔をして成仏したんだ。
< 295 / 313 >

この作品をシェア

pagetop