怨返し─赦されない私の罪─

章太は机に置いてある章太と依奈の二人の写真を手に取った。思い出を形として残してくれている写真、章太は懐かしそうに見つめていた。


「僕はちぃちゃんに昔とは違う、って言ったっけ?確かにちぃちゃんは本当に女の子っぽくなったね。だけど、やっぱり一番奥底には昔のちぃちゃんがいた。
人の為に自分の身を投げ出す。そんな危なっかしいけど頼りがいがあって、逆に守りたくなるちぃちゃん。それを見れただけで、少しホッとした部分はあるかな?」


「....そんなの言ったら章ちゃんだって...一番辛いくせに私なんかを気にする優しさ....全く変わってないよ...章ちゃんはいつまでっても章ちゃんだよ....」


「そっか....ちぃちゃんがそう言うなら間違いないね...
いやぁ〜でも本当に嬉しいよ。最後の最後でちぃちゃんと話が出来て。」



「....え?」


依奈の温もりを取り戻しつつあった心が一気に冷たくなる。その"最後"の意味がどれを指してどれ程の別れになるのか、依奈は理解していたが、聞いても尚依奈は自分の耳を信じようとはしなかった。


「なに?...最後って....聞き間違えだよね?」


「....聞き間違えなんかじゃないよ?僕がまだこの世にいる理由はね?ちぃちゃんを見守りたいっていうのもあるけど、一番の理由がちぃちゃんと話す事だった。
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