怨返し─赦されない私の罪─
章ちゃんを失ってからようやく気が付いたの....章ちゃんがいないのは私じゃない!私には章ちゃんが必要不可欠だって...私は....だって私は!章ちゃん!!あなたのことが」
依奈には章太に言いたいことが山のようにあった。その中でも一際輝き美しく、依奈が一番伝えたい言葉を言おうとしたその時、章太は依奈の肩をガっと掴んだ。
章太のいきなりの行動で喉まで出かかっていた言葉が奥へと引っ込む。章太は息を荒らしながら床を見ていた。
依奈は章太の行動に驚きながら黙っていると、章太はゆっくりと顔を上げて笑った。
「ちぃちゃんはさ...やっぱり美人だよね。」
「え?...章ちゃん...何言って」
「美人だから...多分これから先はモテモテだろうし、その中にはちぃちゃんの運命の人がきっと現れるんだ。その人と気持ちが通じて、結婚して子供にも恵まれて、幸せな家庭を築いておばあちゃんになるまで幸せな人生を送れる。
きっとちぃちゃんならそんな人生を進めるよね。」
「章ちゃん....」
「空の上にいる僕に見してよ。ちぃちゃんのウエディングドレス。僕はずっと君を見守っているから。」
章太は優しい口調で言うと、依奈の涙が更に流れる。頬を垂れていき、自分の足を濡らしていく。
その優しさに、切なさに依奈は心が折れそうになった。