怨返し─赦されない私の罪─


「ね、ねぇ静華....今日は彼女さんは...」


「いないわ。彼女は今日はバイト。だけど、あなたに会うことは知ってるから、定期的な連絡してとか言われて面倒だわ。」


「そっか〜。いやぁ良かった。初めて会った時凄い睨めまれて....もうトラウマになりそう...」


「ふふ....そこが彼女の魅力でもあるんだけどね。あなたに嫉妬心を抱いていたのが可愛らしくて、その夜は」


「ああ!こんなところでそんな話しないでよ...マナーがいいのか悪いのか静華は相変わらずわからないよ....」


静華は困り果てている依奈を見ながら楽しんでいたが、時間を確認するとスっと立ち上がった。


「え?もう行くの?」


「当たり前でしょ?章太君と善子さん、それに裕子の三周忌の墓参り後に映画見に行こうって言ったのはあなたでしょ?あんまりのんびりしてると上映時間間に合わないでしょ?ほら、立って。」


静華は依奈を立たせると、並んで歩いた。色々と話をしながら道中に花を買い、三人が眠っている墓地まで歩いた。

早速買ってきた花を備え、線香を灯して一人一人に依奈と静華は目を瞑って手を合わせた。


裕子....あれから三年たってもやっぱり後悔をしてる。あの時、私が立ち止まっていたらって....そして静華を呼んでくれたから今の私がいる。ありがとうね。
< 310 / 313 >

この作品をシェア

pagetop