怨返し─赦されない私の罪─
「お、おい京....大丈夫か?」
「来希...俺...殺しちまった...人を殺しちまった...」
プルプルと手を震わし、いかにも後悔している風に話した。今まで堂々としていた京吾が情けなくなってしまったことに、来希は完全に信じてしまい、冷や汗をかきまくっていた。
「だ、大丈夫だ!なんとかなる!それと、絶対に死ぬな!いいな!?」
外での出来事に気が付いた店内にいた店員とギャラリーが次々とその場に集まっていく。
皆、刺された京吾を心配し、加害者の善子には誰も見向きはしなかった。
これこそ京吾の狙い。こうすることで、証言は固まる。京吾は合理的に人殺しをし、これからあるであろう事情聴取で演技をすれば、章太をイジメる度胸すらないような印象をねじ込むことも可能だった。
京吾は周りの人間に心配され、苦痛に顔を歪ませるが、心の中ではほくそ笑んでいた。