怨返し─赦されない私の罪─
身近の恐怖
静かな部屋に目覚まし時計が鳴り響く。本来なら学校へ向かう時刻だ。
目覚まし時計を止め、寝惚けながら制服に着替えて下で顔を洗う。リビングへ向かって母親が用意してくれたご飯を食べ、歯磨きをし、登校する。
だが、依奈はそれをしなかった。目覚まし時計が鳴っていても止めようともしない。ずっと布団の中で息を荒くしながら、怯えていた。
昨晩の事がトラウマのように脳裏をよぎり、依奈の行動力を無くしていく。
今日は学校を休むと硬く誓い、依奈は自分の部屋すら出ることを拒んだ。
すると、布団の中でスマホが鳴り響く。誰かからの電話だった。
依奈は息を呑み、恐る恐るスマホを手に取って耳元へ当てる。
「も、もしもし?」
「あっ、依奈!?大丈夫!?なんで学校きてないの!」
電話口は美苗だった。依奈は聞き覚えのある声を聞けたことに心底ホッとした。
「ご、ごめん...私今日休むからさ....先生に」
「そんな事じゃないの!家に連絡網回ってないの?」
妙に声を荒らげている事に依奈は嫌な予感を感じずにはいられない。緊張感がゆったりと漂う。
「な、何か....あったの?」