怨返し─赦されない私の罪─
依奈は戸惑いながらも美苗に自分の家の場所を教えた。
数十分後、スマホが電話音を鳴らした。依奈はすぐに手に取って耳元へ当てた。
「もしもし?依奈?玄関に着いたよ。空けてくれる?」
「...ご、ごめん。私、ちょっと部屋から出るのが厳しくてさ...ポストの下にある猫のガラス人形の底が穴空いてて、そこに鍵があるから....それで悪いけど入ってくれない?二階の突き当たりにいるからさ。」
「あぁ〜...これね。おけおけ、了解〜。」
そう言われると電話が切られ、家のドアが開く音が聞こえた。美苗の足音がどんどん近付いてくるのが聞こえた。
部屋のドアが開く音、美苗なのは分かっていたが、どうしても昨日のあの目が依奈の頭にチラつく。
恐る恐る布団の間から覗くと、そこには案の定美苗の姿があった。
依奈は心の底からホッとし、布団から出ると倒れ込むように美苗に抱きついた。
「美苗ぁ〜本当に美苗だよね?」
「うわっ!え?そ、そうだけどさ〜どうしたの依奈?え!?パジャマのまんまじゃん。」
「だって休む予定だったし...え?もしかして....変?」
「う、ううん?変なんかじゃないよ!ザ・普通!って感じ!」