半端な少女は足掻き続ける
Wonder 1 すべての始まり
「・・・・・。」

「あれ？私は何をしてたんだっけ？」

「そうだ！レオンを探していたんだった。」

そう、私は薄暗い森の中に佇んでいたのだった。
　
時は遡り、数時間前のこと。

私、麗花は大財閥、エクリローメル家の一人娘だ。私の本名はアリス・ミクセリア・エクリローメル。

しかし、ほとんどの人がこの長い名前を覚えてはいなかった。大半はアリス・エクリルと縮めて呼んでいた。
　
でも、一人だけ、私の名前を覚え、別の名前で呼んでいた人がいた。そう、それは、レオンだった。

レオンこと、望月レオンハルトは私の幼なじみであり、婚約者だった。レオンとは、森の中で初めて会ってからずっと二人の秘密の場所で会っていた。

　そのときは婚約者がレオンなんて思ってもいなかったものだから、お父様がそうおっしゃった時は、心底驚いたものだ。

　今も、なぜか、うちの屋敷にレオンがいなかったので、また森にでもいるんだろうと思って、森の奥へ、奥へと進んでいった。
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