鳴らない電話を抱きしめて
「聡。アノ子 どうした?里緒菜ちゃん」
そう言ったのは、いつもつるんでる修哉。
「あ?… あぁ… 里緒菜?……… 別に何も無い。」
「里緒菜ちゃん。最近2年と仲良いらしいじゃん。」
と佐伯 晶(さえき あきら)。
俺は晶の言葉に驚いた。
「誰?それ。」
「2年の藤堂。藤堂 将貴。」
「藤堂って、あのバスケ部怪我で辞めてから定期テストでいきなり上位に食い込んだっていう 藤堂先輩 か?」
上から順に、俺 晶 修哉。
「噂によると、毎日二人で勉強してるらしいぞ。で、一緒に帰ってる。」
「お前 放ったらかしだったから、振られてんじゃね?」
修哉も晶も、残念そうに俺を見る。
俺は そんな事ねぇ! とスマホを出して里緒菜に電話をかけるが、着信拒否なのか?何度かけても里緒菜に電話が繋がる事は無かった。
ラインも既読は付かず、メールは宛先不明で返ってくる始末。
里緒菜に直接会って確かめようと、放課後部活の前に里緒菜を呼び出す為、俺は里緒菜のクラスに行った。
6限は移動教室なのか?クラス全員の荷物が無かった。
だが、その日俺は、部活の準備当番で早く体育館入りしなくてはならなかった。
だから、里緒菜に会う事も話すことも出来なかったんだ。