鳴らない電話を抱きしめて
その夜

俺は、絵梨の帰りを自宅前で待ち伏せた。

俺の家と絵梨の家は、道一本挟んだお向かいさんの間柄。

当然、家族ぐるみで仲が良く、父親同士も同級生で幼馴染みだ。

中学の時からずっとテニス部だった絵梨。

外の部活なのに、絵梨の肌は透き通るほど白い。

髪を少しだけ明るくしてはいるが、傷む事なく綺麗なストレートヘアーだった。

ラケットを持って帰って来た絵梨に

「よぉ!お疲れさん。」

と笑顔で話しかける。

家の門扉を開けようと手を伸ばした絵梨は、突然の事に吃驚した様子で、

「何?」

と俺を睨む。

美人の絵梨に睨らまれると怯んでしまいそうになるが、ここは男の面子を保とうと

「朝の話の続き。」

と冷静に答えた。

俺は絵梨の腕を引き、近くの公園に連れてきた。

昔 子供の頃、よくここで遊んだなぁと思っていたら、

「昔 よく遊んだね。」

と絵梨が呟いた。

「あぁ そうだな… かくれんぼ 鬼ごっこ 缶けり …… 近くの奴らと暗くなるまでな。」

いつからだろう…… 絵梨とこんな風に話さなくなったのは……

いや、俺は絵梨と話したかったけど、絵梨が俺を避けてたんだっけ!?

まぁ俺たちの関係は置いといて、今は聡の事だ。

「なぁ絵梨……」

「里緒と聡君でしょ?!アンタが言いたいのはさ」

勘のいい幼馴染みで有難いやら(笑)

呼びかけただけなのに、話す事を先に言われて苦笑いの俺。

「流石は絵梨。良い勘してるわ。」

茶化す俺をまたもや睨む絵梨。

だから怖いんだって!(ó﹏ò。)

怯んでる場合じゃねぇ!俺は自分を鼓舞し

「お前の言うとおり、聡と里緒菜ちゃんの事だ。俺は、あの二人に仲直りしてもらいたい。」

とビシッと絵梨を見つめて言った。

~ 修哉side終わり~
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