鳴らない電話を抱きしめて
~絵梨side~

部活が終わって家の前まで来たら……修哉が私の家の門前で待っていた。

今朝の話の続きなのは容易に想像出来る。

面倒臭い思いを顔に思っいっきり出しながら、私は修哉が待ち構える家の前に立った。

「何?邪魔なんだけど?」

修哉を思いっきり睨みつけると、

「邪魔とか言うなよ。」

悲しそうな顔をした修哉に見つめられた。

一瞬ドキっとしたが、コイツの友達に私の親友は傷つけられたんだから、絶対に許せるわけない。

「あんたがそんな顔しても、あんたの友達が私の親友にした事を許せるわけないから。」

修哉を睨みながらストレートに言葉をぶつけた。

修哉はなおいっそう眉をしかめながら、

「アイツが里緒ちゃんを傷つけたことは一度もない。アイツは初めて会った時から里緒ちゃんが大好きで、彼女の為に頑張ってるんだ。」

と言う。

「は?傷つけてない?何処が?里緒菜はずっと悩んで苦しんだの。会ってもくれない、連絡も無い。その寂しさを隠していつも『私はだいじょぶだから、聡は部活頑張って!』て言って笑っていたの。だからもう解放してあげて!」

私は声を荒らげて、親友の苦しんでいた姿を修哉にぶちまけた。

そんな私の言葉を聞いた修哉は、顔を顰め俯いた。

「もういい?」

私は、俯き何も言わない修哉にそう言うと、踵を返して歩き始めた。

「絵里!待てよ!!」

修哉に腕を捕まれ振り向かされた私は、

「何?まだ何かあるわけ?」

と、いらだちを抑えきれず修哉を睨みつけた。

「頼む、絵里。里緒菜ちゃんに、聡と話すチャンスを作ってやってと頼んで欲しいんだ。」

怪訝な顔をしているであろう私に修哉は言葉を続ける。

「別れるにしたって、聡に何も言わないで一方的に離れるなんて、それじゃ聡もどうしたらいいのか分からないだろ?」

放ったらかしていた聡君に、そんな事思う権利なんて全く無いと思ったけど、それもそうかと思った私は、

「分かった。じゃ、私が里緒菜を呼び出すから、あんたは聡君を呼び出して。」

「了解。」

「里緒菜の都合を聞いたら連絡するから、聡君が合わせられる日を教えて。」

「あぁ。出来るだけ早く動きたい。だから協力してくれるか?」

いつもはヘラヘラと笑っている修哉が、珍しく真剣な面持ちで言ってきたから、

「分かった。私も早く里緒菜に吹っ切って貰いたいから協力するわ。」

と、返事をした。

「ありがとう。絵里。」

深々と頭を下げる修哉に、私は慌てて

「ちょっと止めてよ!」

と修哉に顔を上げさせるように促した。

「近いけど、送るわ。」

修哉は私の手を取ると、家に向かって歩き始めた。

〜2人の友達side 完~
< 24 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop