鳴らない電話を抱きしめて
第2章

呼び出し

12月初めのとある日曜日

私は、部活が終わった絵梨に呼び出され、駅前のカフェでお茶をする事になった。


「里緒菜!こっちこっち!!」

待ち合わせのカフェに到着し店内をキョロキョロ見渡していた私を見つけた絵梨が手招きをする。

「お待たせ絵梨!部活終わるの早かった……ね?……!!」

4人がけの席に駆け寄って絵梨に向けた笑顔が固まる。

「……聡」

同じ席に座る聡を見て、思わず後退りをする私の腕を絵梨がすかさず捕まえる。

「ごめん里緒!」

「ど…ゆこと?絵梨。どして聡がいるの?」

「言わなくてごめん!でも、修哉に頼まれて…それに……」

「ごめんね?里緒菜ちゃん。聡の親友としてはさ、黙ってらんなくて…」

絵梨も修哉君も俯きながら、申し訳なさそうに小さな声で私を説き伏せようとする。

ふと聡を見ると、憔悴し切った顔で、私を見つめていた。

「ごめん里緒。お店の迷惑になるからさ?座って?」

絵梨に促され、聡の前に座らされた。

「改めて、ごめんね?里緒菜ちゃん。騙すような形になっちゃってさ。でも、オレ 2人はちゃんと話すべきだって思ってさ。だから絵梨に頼んで里緒菜ちゃん呼び出して貰ったんだ。マジでごめん!」

テーブルに頭を擦り付けるかのように、私の隣の絵里の前、聡の隣に座る修哉君は頭を下げた。

「しゅ、修哉君。止めてよ。私…怒ってないし?だから、頭 上げて?」

「ありがとう、里緒菜ちゃん。」

修哉君が、泣きそうな顔をしてテーブルの上に置いた私の手を取ろうとした時、ずっと俯いてた聡が修哉君の手を払い除け、私の手を握った。

びっくりして聡の顔見ると、

「里緒菜に触るな!!」

と、今迄聞いたことがないくらい怒気を秘めた低い声で修哉君を睨みつけた。

「さ……聡?」

思わず怯んだ修哉君は

「ご、ごめん 聡。悪気は無かったから、許してくれ。」

と謝る修哉君に、

「わりぃ 先輩と重なった。」

と聡は俯いて答えた。
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