鳴らない電話を抱きしめて
「アンタは知らないかもだけど、里緒菜はずっとずっと彼氏らしくないこの男を信じて許してたのに。この男はずっと里緒菜の事泣かして、我慢させて。それを全くそれを気づいてやらなかった大バカ野郎なの!私は里緒菜の苦しむ姿をずっと見てきた…辛くても『聡を信じてるから』って言ってたの……ずっと…み…見て…きた…のよ!!」

最後は声を震わせる絵梨を修哉君はそっと慰める様に頭を撫でている。

絵梨を見るその目は本当に優しくて、修哉君の好きな子はきっと絵里なんだろうな。と思えた。

「絵梨。ありがと。私は大丈夫だよ?ちゃんと聡のホントの気持ち、分かったから。だから、大丈夫。」

大きな瞳に涙をいっぱい溜めた絵梨に笑いかけると、絵里のその目から涙が零れ落ちる。

すかさずハンカチを出す修哉君。

それを受け取り素直に涙を拭く絵梨。

2人は幼馴染みって言ってたけど、それより強い絆みたいなのを感じて、隣の聡を窺いみる。

聡も同じように思ったらしく、ウン と頷いてみせた。

「里緒は、いい友達持ったんだな。」

と笑顔で笑いかけてくれた聡に、

「自慢の親友だもん。」

と得意気に返した。

「俺も『自慢の彼氏』って言って貰える様に、これから里緒菜だけをみるからな?」

そう言って、聡は私の肩を抱き寄せ、髪にキスをしてくれた。
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