鳴らない電話を抱きしめて
入間君と残された私は、これといって話す事もなく、何となく気まずくなってしまった。

と、突然俯いていた入間君が顔をあげ、

「あの、さ。俺、初めて澤木さんに会った時からずっと好きだったんだ。… だからその… 俺と付き合ってくれないか?」

といきなり告白。

訳がわからず目をパチクリしていたが、私をじっと見つめてくる入間君の真剣な瞳に圧倒されてしまい、

「はい。よろしくお願いします。」

と思わず答えてしまった。

「ありがと。超絶嬉しい!」

入間君が顔をくしゃくしゃにして喜ぶところを見て、なんだか可愛いなと思ってしまった。


それからあれよあれよと話しが進み、ケー番やメッセージアプリのIDなんかを交換してたら、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「じゃ、よろしくな?里緒菜?」

といきなり呼び捨てにされたのに、不快感は全くなくて驚いたけど、うん!と笑顔を返した。

聡は私を促す様に

「教室まで送るよ。」

と言って、歩きだした。

私はそれに倣い、聡の斜め後ろを歩いて着いていった。

ふと聡を見上げると、チラチラ見られていた様で、目があってしまった。

見る間に首まで赤くなる聡の事が可愛くて、私はとても幸せな気持ちになるのだった。
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