もしも叶うなら、私はもう一度この大空に恋をする。
prologue
雲1つない青空の下、小さかったあたしはよくあいつを探して伸びた雑草で草原と化した公園を走っていた。
「あーくーん!あーくんどこー!?」
伸びた雑草がそよ風に揺れ、その間から青空と似た色の髪が揺れる。
それを見つけたらすごく嬉しくて、一度見つけたら絶対に目をそらさずに走った。
「あーくんみーっけ!」
「……うるさい」
あたしの声で不機嫌そうに眉間にシワを寄せて、でもどこか嬉しそうに少し笑って寝返りをうつあいつが誰よりも大好きだった。
でも青空が雲で隠れるみたいに、あいつは突然あたしの前から姿を消した。
あいつがいなくなってからあたしの心はずっと雲がかかってる。
雲一つない青空でも、あたしには霞んで見える。
いないあいつを探しても疲れるだけ、そう思ったらあたしの初恋は雲がかかった心の奥へとしまわれた。