もしも叶うなら、私はもう一度この大空に恋をする。
そよ風に揺れる空みたいな色の髪。
それはあたしが小さい頃に探した髪そのものだった。
でも背中はあの時よりもかなり大きくて本当なのか戸惑う。
夢なんじゃないか、神様が見せた幻なんじゃないかと疑って目を擦ってもその姿は消えない。
もう一度、あなたの名前を呼んでもいいの?
「……青?」
震える唇で呼んだ名前は小さくて人ごみの中じゃすぐに消えてしまった。
でもその背中は歩みを止めた。
人ごみの中にいるはずなのに聞こえるのはあたしのうるさくなった心臓の音だけ。
ゆっくりと振り向いてすぐにあたしと目があった。
あいつが消えて何度も忘れようと思ったあいつの顔。
でもそんなことできるはずなくてずっとあたしの中で残っていた。
そんなあいつがあたしの前に現れた。