もしも叶うなら、私はもう一度この大空に恋をする。
「……お前の家こっちだったよな?」
「…え、あ、うん……」
少し晴れたモヤモヤがまたあたしの心に覆い被さろうとする。
「何年も行ってなくても体は覚えてんだな。
さすが天才は違うよな」
「自分で天才って言うとバカっぽいよバカ青」
「バカに言われても説得力ねぇよ」
「なっ!?」
その何年は何してたの?
なんてことは聞けなかった。
だってあたしが聞いた質問と無関係の言葉が返ってきた。
「…はぐらかされた……よね…?」
小さくなっていく青の背中に小声で問いかける。
ああやってはぐらかされるならいっそ嘘をつかれた方がよかった。
親の転勤でもどんな嘘でもいいから。
その方がどれだけ気が楽なんだろう。
ねぇ、青。
どうしてあたしに言えないの?
あたしはどんなことでもいいから青のこと知りたいよ。
自分が知らない青がいるなんて嫌なんだよ。
あたしは青が好きだから。