キミに伝えたい言葉がある
「なぁ、真司」
「なんだ?」
「まだ、休憩時間あるよな?」
「あ?あぁ」
時計を見れば、教師に言われた休憩時間終了までまだ時間があった。
全を見ると、ニヤリと何か企みを含んだ顔をして俺を見ていた。
「なぁ、ちょいと付き合え」
「は?何するのさ」
全は立ち上がると、大きく伸びをして頭の上にかぶせていたタオルを肩にかけ直した。
「いいから、いくぞ」
にやりとしたまま立てと全は言う。
俺は、よく分からないまま渋々立ち上がって全にいられるままに移動する。
男子がいる校庭横にある体育館の方にまで歩いて行くと、大きく開いているドアからこっそりと中を覗き込んだ。
「全?」
「見ろよ」
全に言われるまま体育館の中を覗き込んでみると、女子が応援団の練習に励んでいた。
「?これが?」
「おい、分かるだろう?男だけのむさ苦しい中にいるとよ、女が不足するんだよ。見てみろよ、男がいないから女子は無防備だぞ~」
全は、ニヤケきった表情で、体育館の中を見ている。
女子たちは、ちょうど休憩時間に入ってそれぞれ端のベンチに座り、タオルで汗を拭いたり、水分補給をしている。友人同士で笑い合い、暑いから袖を肩まで捲ったり、腹部の裾を上げて風を送り込んでいるその隙間から肌が見えていたり、確かに無防備だった。
「・・・・お前、変態だな」
そんな状況よりも、全の行動に俺はどん引きだった。